セミョーンは、靴屋さんで妻と子どもがいますが、儲けた金は生活費に全部消えていきます。ロシアの冬は寒くコートの買い換えのため毛皮を買おうと町に出かけました。
しかし、農民たちは代金を払わなかったので、毛皮屋ではつけで売ってくれず手ぶらでウォッカを飲んで帰ろうとしました。教会のかげで全裸の男を見かけました。素知らぬ顔で通り過ぎようとしましたが、それは可愛そうでできませんでした。
上着を着せて家に連れて帰ります。手ぶらの主人に妻マトリョーナはイライラして連れて帰った男を見て横を向きます。食事の用意をしてくれと言いましたが妻は沈黙・・・。
しかし、妻マトリョーナの心が変わり食事を出します。そのとき男が微笑みます。男はミハイルと言い、自分の経歴は言いません。セミョーンは、ミハイルに靴職人のわざを教え上達して1年経過。
ある素封家が上等な牛皮を持ってきてブーツを注文します。最低1年は長持ちして足にピッタリな靴の製作を御用命でした。セミョーンは恐れ戦いてミハイルの方に目をやるとミハイルは微笑みます。
セミョーンは、ミハイルにこの注文の仕事を全部任せます。ところが仕上がったものを見て。「あっ。」と驚きました。それは死人に履かせるスリッパだったのです。どうしよう?セミョーンは困り果てました。
ところが、すぐに素封家の召使いが引き返してやってきて、主人の突然の死を報告し葬儀用スリッパを依頼したのです。5年が経過しました。双子を連れた母親らしき女性が来店します。ここで、ミハイルは微笑みます。
ミハイルは、ここで全てを種明かしして自分の経歴を話します。6年前、教会のかげで全裸で倒れていたのは、神の罰を受けた天使の自分だったというのです。彼は神の命令に従ってある母親の魂を抜き取りに行ったのですが、双子を生んだ直後の母親を哀れに思い神の命に背きました。
神の怒りは凄まじく神罰に打たれて地上に堕ち母親は死にます。彼を救ったのは、貧しさのために心が冷え切っていた靴屋でしたが、上着を着せたとたん魂が生き返ります。自宅では妻の心も萎えていましたが、ミハイルに食事を出したとたん、心が温かくなりました。
神がミハイルに与えた課題は次の三つです。
1.「人間の心の中にある良いものとは、何ですか。」
2.「人間に知らされていないものとは、何ですか。」
3.「人はパンのみにて生きるにあらず。何で生きるのですか。」
妻がミハイルに食事を出した時に、1番目の答えが出ました。それは愛です。・・・「それゆえ、信仰と希望と愛、この三つは、いつまでも残る。その中で最も大いなるものは愛である。」 新約聖書のコリント人への手紙第一13章13節です。2番目の答えは、ミハイルは素封家が来店した時にその人の死期が見えたのです。平たく言えば、「来年の事を言うと鬼が笑う」ということでしょうか。ですから、「今日一日の苦労は、今日一日だけで十分である。明日のことを思い煩うな。明日は、明日自身が思い煩うであろう。」マタイ伝6章34節 ということです。
双子を連れた女性の姿を見た時、第3番目の答えが出たのです。その双子こそは、ミハイルが神罰を受ける元になった母親の生んだ双子だったのであります。ここで3番目の答えが出ました。「親はなくても子は育つ」ということですが、大事なのは、「人はパンだけで生きるのではなく、神の口から出る一つ一 つのことばによる」と書いてあるのです。 新約聖書マタイの福音書4章4節
この女性は里親ですが、親無き子を我が子と同じように愛して育てたのです。天使ミハイルは、神の祝福を得ました。
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